1st story


 むかしむかし地球のすぐそこに、小さな星がありました。
 そこには1人の女の子が、ひっそりと住んでいました。
 女の子は発明が大好きで、たまに地球へ買い物に行っては、
 その材料で便利なものを作って暮らしていました。
 
 いつものように、女の子が地球に出かけていたときのこと。
 
 宇宙を探索していた1人の男の子が、女の子の星を見つけました。
 男の子は目を輝かせてその星に降りると、たくさんの発明品を見定め始めました。
 「これとこれとこれは、地球で高く売れそうだな!」
 「テレビ」「センタクキ」「レイゾウコ」とそれぞれ書かれた2つの箱を船に詰め、
 男の子は地球へ戻りました。
 
 それからしばらくして、女の子は星に戻って驚きました。
 大切にしていた3つの発明品がないのです。
 地球の人に星がばれてしまったのかと真っ青になりましたが、
 その3つよりもとてもとても大事にしていたものは残っていたので、少し安心しました。
 
 でも、それもつかの間。
 
 地球の偉い人たちが、女の子の星にやってきたのです。
 先頭を歩く男の子の案内で来たようでした。
 「テレビもセンタクキもレイゾウコも、この星から持ってきました。
 彼女が僕達の星にとって役立つことは、間違いありません」
 その男の子の言葉に、髭をたくわえ険しい顔をしたおじさんは頷きました。
 「今すぐこの星を我々のものとしよう。
  この少女は政府の狗とする」
 
 その言葉を聞いた女の子は、無我夢中で逃げ回りました。
 星を出て、宇宙の果てまで、どこまでもどこまでも逃げました。
 もう、女の子の姿はどこにも見えません。
 
 政府は落胆しましたが、星には発明品の資料が残されていたので、満足げに笑っていました。
 
 
 
 男の子は1人、悲しそうな顔をしてうつむいていました。
 
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